バレエ《セレナーデ》は、ジョージ・バランシンが振付けた最も有名で象徴的な作品の一つで、チャイコフスキーの《弦楽セレナーデ ハ長調 作品48》に合わせて1934年に初演されました。この作品は、バランシンがアメリカで設立したスクール・オブ・アメリカン・バレエの最初の生徒たちのために創作され、以後、ネオクラシック・バレエの金字塔として多くのカンパニーで上演され続けています。
《セレナーデ》の魅力と見どころ
1. 音楽と振付の完璧な融合
チャイコフスキーの《弦楽セレナーデ》は旋律美と構成の緻密さで知られており、バランシンはこの音楽の構造を緻密に読み解き、音の流れと完全に一体化した動きを創り出しました。音楽の中に「見える動き」を作り出すことで、まるで音がダンサーを導いているかのような錯覚さえ生まれます。
2. ストーリーのない「抽象バレエ」の美しさ
《セレナーデ》には明確なストーリーがありません。登場人物の名前も背景もないのに、舞台には豊かな感情や詩的なイメージが立ち上がってきます。観客はそれぞれに異なる物語や感情を感じ取ることができ、まるで夢を見ているかのような自由な体験ができます。
3. バランシン独自の構成美と対称性
バランシンの振付は、幾何学的なラインと群舞の配置の美しさが特長です。ダンサーたちは縦横のラインを絶えず変化させ、アンサンブルの動きがまるで一つの呼吸のように見える瞬間が多々あります。この視覚的な「動く建築」とも言える構成は、バレエファンならずとも魅了されるポイントです。
4. ブルーチュチュと舞台の詩情
ダンサーたちは淡いブルーのロマンティック・チュチュを着用しており、その柔らかい衣装が照明と相まって、幻想的な雰囲気を生み出します。夜明けの光、あるいは月夜に踊る精霊たちのような神秘的なムードが漂い、作品全体を包み込む「詩のような時間」が体験できます。
5. 舞台上の「偶然」を取り入れたドラマ
バランシンはこの作品を創る際に、リハーサル中に起こった偶然(たとえば、誰かが遅れて舞台に出てきたことや転んだこと)をあえて振付に取り入れました。このような即興的な要素が、作品に「生きている舞台芸術」としての強い息吹を与えています。
6. 終幕の深い余韻
終楽章(エレジー)で、1人の女性ダンサーが高く掲げられ、静かに舞台から去っていくシーンは、《セレナーデ》を象徴する名場面の一つです。具体的な説明はされませんが、この場面には「別れ」「死」「昇華」など多様な意味が込められていると解釈され、多くの観客に深い感動を残します。
観る際のポイント
- 音楽と振付がどのようにリンクしているかに注目すると、新たな発見があります。
- 群舞の中のラインやフォーメーションの変化をじっくり観察してみてください。
- ストーリーに縛られない分、自分自身の感じたこと・浮かんだ情景を自由に受け取ることができます。
まとめ
《セレナーデ》は、バランシンの芸術観やクラシック・バレエの美を抽象的に凝縮した珠玉の作品です。音楽、動き、衣装、空間、すべてがひとつになったときに生まれる「純粋芸術としてのバレエ」の真髄を味わえる作品です。バレエ初心者にも経験者にも、それぞれの目線で何度でも楽しめる深い魅力を持っています。
今回のブログで有名なバランシンの《セレナーデ》をあえて取り上げたのは、発表会で披露された作品で、しかもその後再演されることはなかったこと。そのために野沢きよみバレエスタジオの作品レパーレパートリーとしてどうしても映像を保存しておきたいという気持ちが強くありました。
初期の作品なので、映像の破質も悪く、ビデオ撮影業者の踊りの撮り方にもあまり良いとはいえません。
画像はVHSビデオーテープをデータ変換し、その後編集しました。
しかし、解像度が低いので鮮明な映像とはなりませんでした。
とても残念だったのは、カメラ1台での撮影とアングルが遠いので生徒たちの踊りも細かいところまでは確認できませんでした。
当然のことですが、顔立ちも鮮明ではなく、がっかりしました。
当時の発表会の映像はこれが普通だったのかと思うと・・・・。
とはいえ、スタジオの大変貴重な財産ですので、「こんな映像をよくアップしたね!」と云われることも覚悟の上でした。
バレエ教室の発表会の作品は、そのとき在籍している生徒の人数、同じ年齢層で踊りのレベルが揃っていることなどの制約によって作品選びは左右されます。
その意味では、当時の生徒たちに感謝です。
バランシンの名作《セレナーデ》を発表会で披露することが出来たのですから。






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