バレエの舞台に欠かせないもの。
それは、
「バレエ音楽」

バレエを知らなくても
あの、「白鳥の湖」のメロディーの一説を
知らない人はいないでしょう。
このほかには、12月に「バレエ」の公演でよく上演される
「くるみ割り人形」の音楽など。
「バレエ」には全く興味がなくても、どこかで聞いたことのある
有名な音楽です。
また、実はテレビのCMでも「バレエ音楽」は使われています。
「コッペリア」、「眠りの森の美女」など
バレエの作品名は知らなくても、耳慣れた音楽の一節を
知らず知らず耳にしています。
そんな「バレエ音楽」ですが、
バレエ団で上演される「クラッシックバレエ」の作品では
オーケストラが実際に舞台にある「オーケストラピット」、通称オケピット。
ここでダンサーの踊りにあわせて、オーケストラの皆さんが
演奏します、
しかし、
「発表会」では、オーケストラを実際に呼んで、演奏とは
いかないのが現状です。
予算がかなり必要になりますし、このほかに指揮者も必要と
なるので、その費用はかなりのものになってしまいます。
となると、さしずめ、いま一番市場に出回っている
「CD」に録音された「バレエ音楽」で、出演する生徒さんは
舞台で踊ることになります。
ただし、市販されている「バレエ音楽」の録音されているそのままの
テンポというわけではありません。
ある部分は「ゆっくり」だったり、ほかの部分は「ほんの少し早く」など。
実は、踊る生徒さんの踊りやすいテンポにあわせて、微妙な
音楽の調整があるのです。
その作業は、音響を担当する専門家の力を借りるのです。

また、実際の舞台で、生徒が踊るときには舞台袖にスタンバイして
「作品」の出だしにあわせて、音楽をスタートさせる、
踊りのきっかけにあわせた、プロならではの高度なテクニックがあります。
具体的には、ダンサーの手が挙がった瞬間に音楽だったり、
舞台に出てきて、ポーズをしたら音楽が始まる。など、など
普段、何気なく舞台を観ていては、まったく気がつかないことが
結構あるものです。
でも、それは、自然に違和感なく「作品」が進行するために
舞台の音響を担当する専門家の力技によるところが多いのです。
この「音響」。
実は、テクノロジーの進化と無縁ではないのです。
バレエは舞台芸術、バレエダンサーが高度に訓練された肉体を
踊りという表現形式で観客のみなさんに披露するものです。
そこには、「人間」の力だけで表現しているのですが、
さらに、その表現を増幅させ、より効果をあげるための「仕掛け」
「バレエ音楽」の再生装置は、俗にいう器械。
テクノロジーのかたまりです。
ずっと昔、「舞台」といえば、オープンリールに録音された音楽を
使用していました。
それから、バレエのレッスンなどでは「カセットテープ」
次に、いまでも「バレエコンクール」では、使われている「CD」。
現在は「CD」。進んでいるところでは、ハードディスクに
録音されているものを再生。
いわいる、ディジタル音楽になってから、音楽の録音、再生は
デバイスといわれるー再生装置。
携帯音楽プレーヤー、スマホ、CDなど
いろんなデバイスで音楽を聞くことが出来るようになりました。
テクノロジーの進化は音楽をどこでも聞くことが出来るし、
簡単に録音できたり、多くの人が便利に扱えるようになりました。
しかし、この「便利さ」は、
実際に踊るダンサーにとって本当なのでしょうか?
先ほども書きましたが、音楽の編集作業。
この部分は、デジタルになってずいぶんと楽になりました。
音楽のひずみが少なく、音楽の一部分を早くしたり
遅くしたりなどはアナログの時より比べようもないくらい
楽になったと思います。
「野沢きよみバレエスタジオ」の特徴といってもいいと
思いますが、この音楽に関する限り、かなりの程度、
専門家と同じように、野沢先生が自分自身で
「発表会」で踊る作品の「音楽の編集」を行っているのです。
その昔は、オープンリールのテープをはさみとのりで切って、「しろみ」とよばれる、つなぎのテープを間にいれて繋ぎ合わせたり音楽編集用のデッキを購入して、CDからMDへ録音する際に音楽の一節をピッチコントロールで、早くしたり、遅くしたりして音楽の編集を行っています。
そうすることによって、踊る生徒さんは「本番の舞台」で
踊るテンポのまま、作品の練習が出来るのです。
それって、踊る生徒さんにしてみれば
とっても有り難いことですよね。
編集してつくられたMDが、実際に踊ってみたけど
少し早すぎる、あるいは遅すぎるなど
しっくりこない部分があったとき、
野沢先生は踊る生徒さんの要望にあわせて、それぞれに音楽の編集作業を行い、微調整しながら、踊りの練習と「作品」の完成度をあげるために地道な作業を繰り返します。
こうしたデジタル音楽は、「CD」に録音される場合、
高い音と低い音、上下の音をカットした形で録音されているために
音の深みかける部分があります。
それにくらべ、「レコード」は音楽の再生という部分では
「CD」よりは深みのある音楽となります。
とはいっても、もう「レコード」は市販されていません(中古はありますが)。
「CD」は、録音するときに、失敗すると、間違えた部分にあらたに重ねて
録音することが出来ず、まったく新しい空のCDに最初から録音しなければならないという不便さがあります。
その点、「MD」は楽で、音楽の編集作業を微調整しながら、間違えた部分に
音楽を重ねて録音出来るという、とっても便利、使い勝っての良さがありました。
ただし、残念ながら、この「MD」。
MDデッキがもう市販されていないのです。
このように、テクノロジーの進化に音楽の再生、録音、編集という作業は翻弄されてきました。
野沢先生は、そのたびに、新しい器械を購入して
自分でいまでも音楽の編集作業を行っているのです、生徒のために。
「耳」のいい、野沢先生は、ハードディスクに録音されている音楽をCDに録音すると必ず、雑音があるといいます。
なので、デジタル音楽に対する不満がありどうすれば、きれいな音、クリーンな音楽の再生が可能になるのかいま、悩んでいます。
それは、単純にパソコンに音楽を取り込んで、
音楽編集ソフトを使い、自由にテンポの早さを編集できたとしても
解消されない、微妙な問題です。
せっかく、一流のプロの音楽家が「バレエ音楽」を演奏したものを
録音しても、その音楽が忠実に再現されないのであれば演奏し、録音した音楽そのものが「バレエ」の舞台をより深い音楽、感動を引き出させてくれるー大いなる仕掛けーを、困難なものにしてしまいます。
よりよい舞台作りのために、
「バレエ音楽」の録音、再生、編集という壁に
悩んでいます。
この問題はすべて
「バレエ」を愛する人の、「バレエダンサー」に対する
愛情でもあり、完璧さを求め、追求する「芸術家」の
「バレエ」に対する厳しい姿勢からなのではないでしょうか。
