NHK BSバレエ「海賊」4月20日再放送〜海賊はなぜ“ヴァリエーションの作品”として記憶されたのか

バレエ「海賊」

NHK BSで再放送される
ウィーン国立バレエ団の「海賊」。

しかし今回あらためて考えたいのは、
この上演そのものではなく、

バレエ作品としての「海賊」の立ち位置である。

私にとって「海賊」は、
長いあいだ“全幕作品”ではなかった。

それは、ひとつのヴァリエーションの記憶から始まっている。

「海賊」という少し特殊な古典バレエ

「海賊」は
マリウス・プティパらによって形づくられた古典バレエである。

しかしこの作品は、他の古典作品とは少し違う道を歩んできた。

たとえば

  • 「白鳥の湖」
  • 「眠れる森の美女」

これらは“全幕作品”として認識される。

一方「海賊」は違う。

多くの人にとって
まず思い浮かぶのは、
グラン・パ・ド・ドゥではないだろうか。

「部分」が「作品」を追い越したバレエ

「海賊」は、ガラ公演やコンクールを通じて、

👉 “一部”が先に独立した作品である。

特に女性ヴァリエーションは
強いテクニックと華やかさを持ち、

短時間でも観客に強い印象を残す。

👉 作品全体ではなく
👉 “一部”が先に広まった

という現象だった。

ガラ公演、コンクール、テレビ放送。
その中で選ばれ続けたのが、

「海賊」のパ・ド・ドゥだったのである。

私の中の「海賊」

私の記憶の中でも同じだった。

「海賊」といえば、
赤い衣装の強烈な印象。

そしてその中心にいたのが、
エヴァ・エフドキモワだった。

エヴァ・エフドキモワの踊りは、

単なるテクニックの披露ではなかった。

  • 音楽との強い結びつき
  • 明確で力強い存在感
  • 観る者に一瞬で届く華やかさ

それらが揃ったとき、

「海賊」は“作品”ではなく
👉 “記憶される瞬間”へと変わる。

だからこそ私は、

「海賊=エヴァ」としてこの作品を受け取っていたのだと思う。

その踊りは、
ひとつの作品としてではなく、

ひとつの完成された瞬間として記憶されている。

私は、

「海賊」が全幕作品として存在することを、
後になって知ることになった。


「海賊」が持つもう一つの魅力

しかし全幕作品として見ると、

「海賊」は別の魅力を持つ。

  • 冒険物語としての分かりやすさ
  • キャラクターの多彩さ
  • 踊りの連続性

そして何より、

踊ることそのものの喜びが前面に出ている作品である。


今あらためて観る意味

今回放送されるのは、
マニュエル・ルグリが手がけた

ウィーン国立バレエ団の「海賊」。

ルグリは、クラシック作品に対して
過度に作り替えるのではなく、

👉 “整えながら生かす”

という姿勢で向き合ってきた人物である。

だからこそ今回の上演は、

👉 「ヴァリエーションとして知っている海賊」が
👉 「作品としてどう立ち上がるのか」

を確かめる機会になる。

まとめ

「海賊」は、少し特別な古典バレエである。

多くの場合、
作品より先に
ヴァリエーションとして出会う。

そして後になって、
その全体像を知る。

私にとっても、そうだった。

だからこそ今、
あらためて全幕作品として観ることには意味がある。

“記憶の中の海賊”と
“舞台の上の海賊”。

その距離を感じながら観ることが、
この作品のもうひとつの楽しみ方なのかもしれない。


NHK BS プレミアムシアター番組紹介

4月20日(月)午前0時05分~

◇ウィーン国立バレエ公演「海賊」【再放送】
  
原振付:マリウス・プティパ ほか
  振付:マニュエル・ルグリ
  音楽:アドルフ・アダン ほか
<出演>
  コンラッド:ロバート・ガブドゥーリン
  メドーラ:マリア・ヤコヴレワ
  ギュリナーラ:リュドミラ・コノヴァロワ
  ランケデム:キリル・クラーエフ
  ビルバント:ダヴィデ・ダート
  ズルメア:アリーチェ・フィレンツェ
  セイード・パシャ:ミハイル・ソスノフスキー ほか
  ウィーン国立バレエ団
  管弦楽:ウィーン国立歌劇場管弦楽団
  指揮:ワレリー・オブジャニコフ

収録:2016年3月31日、4月2日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)

前回放送時の「海賊」番組紹介ブログ記事

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