
ロイヤル・バレエ・スクール100周年事業のテーマの一つは、
「劇場を出て、街へ。」
というものでした。
街に花を飾る。
上映会を開く。
スウィーツを囲みながら、人々がバレエについて語り合う。
舞台を観るだけではない。
芸術そのものを、街の文化として楽しむ。
その取り組みを見て、私は寺山修司の言葉を思い出しました。
「書を捨てよ、町へ出よう。」
もちろん意味は違います。
しかし、そこには共通する願いがあります。
知識や作品を閉じた世界に置いておくのではなく、人々の暮らしの中へ届けようという姿勢です。
私は、バレエも同じではないかと思います。
劇場で観る芸術はもちろん尊い。
けれど、本当に文化として根づくためには、劇場の外にも存在しなければならない。
子どもが音楽を好きになること。
家族で舞台の話をすること。
街で花を見て美しいと思うこと。
休日に上映会へ出かけること。
その一つひとつが、芸術を育てています。
だから私は、地域のバレエ教室も単なる習い事ではなく、「地域文化の入口」でありたいと思っています。
レッスンだけを提供する場所ではなく、
世界のバレエを紹介し、
芸術について語り、
音楽や舞台を楽しみ、
子どもたちが文化に触れるきっかけをつくる場所。
それが、これからのバレエ教室の役割ではないでしょうか。
バレエは、舞台だけにあるものではありません。
暮らしの中にあり、
街の中にあり、
人と人との会話の中にあり、
季節を感じる心の中にもあります。
芸術は特別な日のためだけにあるものではなく、日々の暮らしを少し豊かにしてくれるもの。
私たち野沢きよみバレエスタジオは、そんな「生活の中にある身近なバレエ」を、この地域で育てていきたいと考えています。
劇場を出て、街へ。
その一歩が、未来の芸術文化を育てる一歩になると信じています。
