子どもは見ていないようで見ている──レッスンで本当に育っている力

子どもは見ていないようでみている

最近、レッスンを見学していた保護者の方から、こんな言葉を聞きました。

「うちの子、先生の話をちゃんと聞いていないように見えるんです。」

きっと、多くの保護者の方が一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか。

先生が話しているのに視線は別のところへ向いていたり、ぼんやりしているように見えたり、友達のことを見ているように感じたり。

そんな姿を見ると、「ちゃんと見て」「ちゃんと聞いて」と声をかけたくなります。

でも、三十年以上子どもたちと向き合ってきて、私は何度も同じことを感じてきました。

子どもは、見ていないようで、ちゃんと見ています。


バレエのレッスンー子供見ていないようでちゃんと見ている
目次

子どもは「教わる」より「見て学ぶ」

バレエのレッスンでは、先生の言葉だけが学びではありません。

先生の立ち方。

お姉さんたちの腕の動き。

音楽が流れ始めた瞬間の空気。

誰かが注意された理由。

誰かが褒められたときの表情。

子どもたちは、それらを一つひとつ意識して覚えようとしているわけではありません。

けれど、まるでスポンジが水を吸うように、教室の空気そのものを吸収しています。

大人が思っている以上に、子どもたちは「見て」いるのです。


「できない」のではなく、心の中にしまっている時間

レッスンで注意されたことが、その場ですぐできるようになる子は多くありません。

「何度言っても直らない。」

そう思うこともあるでしょう。

でも、数週間後、あるいは数か月後に、突然その動きができるようになることがあります。

その瞬間を見るたびに思います。

あの子は、できなかったのではなく、心の中で育てていたのだと。

子どもの学びは、種をまいた翌日に花が咲くようなものではありません。

見えないところで根を伸ばし、少しずつ力を蓄えています。

だから、成長はいつも静かに始まります。


教室には、言葉にならない学びがある

バレエ教室で育つのは、テクニックだけではありません。

順番を待つ姿勢。

友達を思いやる気持ち。

最後まで音楽を聞く集中力。

美しいものを美しいと感じる感性。

先生が大切にしていること。

それらは、「教えられる」というより、「感じ取る」ことで身についていきます。

だから子どもたちは、何もしていないように見える時間にも、たくさんのことを学んでいます。


保護者の方に知っていただきたいこと

もし、お子さんがレッスンでぼんやりしているように見えた日があっても、あまり心配しすぎないでください。

その日、その子が見ていたものは、大人には見えていないのかもしれません。

先生の笑顔だったかもしれません。

一生懸命踊る友達の姿だったかもしれません。

音楽の美しさだったかもしれません。

そのすべてが、次の一歩につながっていきます。

子どもは、自分のタイミングで育ちます。

そして、その成長の多くは、目には見えないところで始まっています。


おわりに

バレエは、「教わる場所」であると同時に、「感じる場所」でもあります。

見て、感じて、心にしまい、自分の中で少しずつ形にしていく。

その積み重ねが、ある日ふと、姿勢や表情、踊りとなって現れます。

だから私は、今日も子どもたちの「見ていないようで見ている力」を信じてレッスンを続けています。


🎙️「バレエと静かな時間」第14回へ

今回のテーマは、ポッドキャスト**「バレエと静かな時間」第14回『子どもは見ていないようで見ている』**でもお話しします。

ブログでは伝えきれないレッスンでの実際のエピソードや、子どもたちの小さな変化について、私自身の経験を交えながらお届けします。

耳で聴くことで、教室の静かな空気まで感じていただけたら嬉しいです。

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